● グッジョブ ●
ドリーミーなもののあはれを慈しむ。捨て身アートのアーカイブ!
男は、自分の考える美しさのために殉ずべきなのだ
広いスペースに石膏ボードで壁を建て、それを裏側からスコップで攻撃して破壊するパフォーマンス。
壁の隙間から覗いて、鑑賞者を確認したら思いっきりスコップで壁を殴りつける。
強烈な衝撃音と同時に壁に穴が空き、石膏の破片は美しく飛び散り、破片未満の粉末は破壊的な空間にふわふわと漂う。
反対に、鑑賞者も冷蔵庫に入っている赤い紙で飛行機を折り壁の向こうを目掛けて飛ばす。質の違う緊張と間の痕跡が床に蓄積されていく。
ぶら下がっているのはかりんとう饅頭
3日間。壊しては取り付けを繰り返した。
Photo: 上・Hako Hosokawa 下・かもめのジョナサン
< 仰天!よそものフェスタ > 2016・10 横浜 寿町
正解が見えないまま始めたよそものフェスタは、日常と非日常のメリハリのない寿町の
昇華しどころのないエネルギーがあつまり、昂揚するも発散せず、どろどろと公園内を循環し、なんとも独特な気を生み出していた。
太陽が沈み、だんだん暗くなっていくなかで、
中心を作ろうとする私たち、なんとなく近くにいる寿町の人たち、保育園の乱暴な子供たち、アート関係者、散らかりつつも関係しあい、それぞれの方法で感激し、行動し、最後はサランラップでぐるぐる巻きにされ、花火と共に絶頂を迎える。
あれからずいぶん経った今でも、あの中で起こった特定の事象に対して善し悪しを言う気にはなれない。
見に来た箱ちゃんが撮ったインスタントカメラの写真をみると、薄暗がりの中、柱を立てようと苦戦する私と、声を荒げ熱唱する創君、その周りで無邪気に暴れまわる子供たちが写っていた。
こみ上げるものも全部ひっくるめて、美しいと思うことができて嬉しい。
photo 箱田果歩
《ニューヨーク方面へヒッチハイク》2015・5
取手のアートスペース拝借景で発表したパフォーマンス。
拝借景の前の道路に立ち、「ニューヨーク方面」と書いたダンボールを掲げる。
車がとまったら乗り込み、その人にとっての「ニューヨーク」で降ろしてもらう。
降ろしてもらった地点で再びダンボールを掲げる。
その日あった出来事を手紙に書き拝借景におくる。
このパフォーマンスを2週間続けた。
「海の方いく?」「空港へいこう」「六本木で降ろすから金持ちに拾ってもらってくれ」と奇想天外の予想のつかない漂流が続き、
最終的にたどり着いてのは静岡県御前崎市のパチンコ屋「ニューヨーク」。
24台の車に乗せてもらったことになる。
2016・12/10-11
12月10・11日の2日間
【一歩踏み出せ。ダンボールとともに】という合言葉で
日本全国に「ニューヨーク方面」へヒッチハイクする人が大量発生するイベント。
参加者は自宅の前で『ニューヨーク方面』のダンボールを掲げ、なにを思ったか乗せてくれる人が現れることで漂流スタート。降ろされたらそこで再びダンボールを掲げる!
何時でも何処でも誰でもできるハッピー冒険である。
空港へいったり、九州一周したり、雪国へ行っちゃったり、長野豪邸に泊めてもらったり、ものすごい人に出会って衝撃をうけて次の日会社に辞表を出してしまったり、、と
参加者それぞれが「ここからニューヨーク方面」への距離を感じ、日常生活へ戻っていく。
「ニューヨーク方面」というドリーミーなもののあはれが、その一瞬で誰かの心をジワっとさせていたらそれもまたグッジョブだ。
【ネットニュース】
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1480919754427.html
2016.3〜4
【モーメント小平】というグループの活動。
企画をつくったのは、野口竜平、鈴木健太、長崎リサの3人。
しかのく荘の裏の荒野に一瞬で出来上がってしまった衝撃的建て売り住宅群が、ネーミングの由来になっている。
●東京都小平市から香川県綾川町まで台車を運ぶ
●出発時お金をもたない
●参加自由
●このプロジェクトをかがわ山なみ芸術祭に展示する
●企画者も参加者と捉えることとする
というルールのもと行った、850キロ徒歩の旅。
偶然出会った人が仲間になったりと、参加した人は15人くらい。
メンバーが増えたり減ったりする中、その時いる仲間全員で、リアカーを引く人、映像を撮る人、ギターや踊りでお金を稼いでくる人、食料を集める人、料理を作る人、寝床を探す人、など役割分担による成果を共有し、みんなで生きていく、という原始共産制が自然に起こった。
「3人いれば社会が生まれ政治が生まれる」という言葉通り、今まで培ってきた常識や価値観、美意識にとらわれず、その時その時のメンバー内での丁寧な話し合いがインポータント。
52日間。毎日毎日途方もない事件が続き、ほぼすべてのメンバーが涙を流すというドラマチックで愉快な旅だった。
「距離と時間に対する人間の憧れはマシーンには理解できない」
私は終始
「モーメント小平」の仲間内での関係性のこと。
地域社会における「異物」としてのモーメント小平のこと。
の同時に存在する2つのレイヤーのことが気になりつづけ、
その興味が後の芸術公社の合宿で熟成され、漂泊芸術体系「よそものアート」構想へ繋がっていく。
【小平市とリアカーについて】https://camp-fire.jp/updates/view/26532
【岡山経済新聞】https://okayama.keizai.biz/headline/299/
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=Cb2QZIRvLoo&t=2s
《 バングラディシュの子供 》 2014.2
バングラディシュにて。
街で楽しげなフェスチバスがあったのでニヤニヤしながら歩いていると、程よい良い子供がいたので少しちょっかいをかけてみた。
お互いに愉快なやりとりを続けていると、いつのまにやら俺の周りにちょっとした子供の群れができた。
群れになってからは早くて、遠方の子供まで何かを嗅ぎつけ走って突撃してくる。どんどん数が膨張。
次第に手に負えなくなり困惑の中「なんかくれ」としきりに手を伸ばしてくる奴がしつこくて木の実を渡した。
3時間前、流されるように乗ったタクシーが赤信号で止まった際、接近してきた少女にウィンドウ越しで強引に売りつけられたやつで、
おれの口には合わなかったのだ。
感謝されるかと思いきや、わーわー騒ぎながら木の実をめぐる乱闘を始める子供達。
チャンスと思った私はアホな子供が木の実に気を取られているうちに素早く身を隠し、そのまま足早に逃げ去ろうとしたのだが、抜け目ない数人が瞬時に反応、追いかけてきた。
絶対に逃してなるものか、という気迫が伝わってくる。
こいつらは本当にしつこい。20分くらい無視して歩き続けるも執念深くついてきて、目があうたびに「なんかくれ」と手を伸ばしくる。
しまいには「マネーマネー」と言いながら
惨めな表情を見せつけ同情を誘う、悪態をつきながら膝を蹴りつける、カバンを強引に覗く、等してくる。
無邪気さ、あざとさ、切実さ、ちょっとした遠慮、惨めさ、などがところどころで察すれるものの彼らの目的はただ一つ。
これにはうんざり。
私たちの関係性は
「金か食料をくれる観光客」と「うっとしい物乞いの子供」
に成り果ててしまった。
この時は、《エブリデーパフォーマンス》という修行の期間であり、奇声を上げながら派手な動きをすることに飽きてしまっていた頃でもあった。
(ちょうど良い。なるべく静かな動きでこいつらを黙らせてやろう)とこの日のパフォーマンスを発動。
落ちているゴミを円形に並べ、その内側にはだれも入れない。という拒絶のパフォーマンスを行った。終始無表情、声もださない。
すると意外なことに、子供たちはゴミの外側でじっとおれを観察するようになった。おれはそこらへんから精神を集中、必然の動ができるように心のモードを変えていく。
子供らは、おれの行動規則を探るようだったり、好奇の目を隠さずだったり、お姉ちゃんの後ろに隠れながらだったり、それぞれ私の動きを食い入るように見ている。
知らないおっさんが通ろうとすると「こっちはダメ」と言って退ける子供も出てきた。お互いの無言の所作の一つ一つでその空間のルールが構築されていっているようだった。
20分ほどで終了。
ゴミの境界はむしろ「観光客」「物乞い」の関係を超越し、人間と人間の相互作用を生む装置として特別な効果を発揮していたように思った。
静寂の20分を共にすごし、
その後のおれは大人気。どこに行くにも20人くらいでわちゃわちゃ楽しそうに着いてくる。
手首をひらひら回転させ自らの額につけ、一拍おいてみんなでジャンプ!という奇妙な動きを日本の挨拶として伝授。
整列させ、20人のタイミングが揃うまで厳しく練習させたが、それらにも目を輝かせている。
自分の働きかけしだいで人との関係の作り方なんて自由自在なのか。
相手の価値観にも、自分の価値観にも社会のルールにも合わせる必要はない。
日本の挨拶を習得した子供達の奇妙な動きに見送られながら、大いに未来への夢を膨らませる。この時21才。
通行人にロープ付きタイヤを貸し出す受付。
興味本位で近づいてきた通行人は、ロープ付きタイヤを貸し出され困惑しながらも引っ張り始める。
タイヤは街の秩序を破壊しながらずるずる移動、通った跡の街は自然治癒を始めるが、その過程にこそ、その風土の本質が見え隠れするのだ。
teratoteraまつり2015プレイベント
トランスアートトーキョー2016
埼玉トリエンナーレ2016
高円寺北中夜市2017・4
ピアノを3階から落とす
着地した瞬間、強烈な音とともに鍵盤が飛び散る。
花火は静かに消え、漂う煙が息の詰まるような瞬間の余韻を際立たせていった。
タイヤを一ヶ月ひっぱりつづける
大分県別府市にて。一ヶ月間タイヤを引っ張ることを日課にした。
その後、タイヤひっぱりによって街で起きた現象に着目し展示
個展『タイヤof無機質〜人間3歩あるくのに米一粒つかう〜』
絶対成功!やばいばる!タイヤレース!
武蔵野美術大学構内をタイヤを引っ張って走るレース!
体力の限界を超え、精神力(心のパワー)での戦いが求められる熱いレース!
開会式で「もし学生生活科に止められたら、制作で使うタイヤをアトリエに運んでいるだけというように」という演説をした。
タイヤひっぱりで爆走する20人の男女を前に狼狽する堅物学生生活課の顔が目に浮かぶようだった。
校庭供養
新校舎建設のため埋め立てられてしまう校庭を供養するために行ったパフォーマンス。
ムサビ気鋭のパフォーマー15人を呼び、それぞれに即興のパフォーマンスを行ってもらう。パフォーマー、カメラマンを含めたそれら相互関係と取り巻く環境そのものを作品として考えて作った。カメラマンも白塗りにしたのがグッドポイント。
最終的に全員、キツネに殺されてしまう。
映像作品として発表した。
【ときめきパンク】 2014.6 武蔵野美術大学
武蔵野美術大学のオープンキャンパスで行われたゲリラパフォーマンス。
ギターを自作アンプで掻き鳴らす人、激しく踊る人、缶詰めを地面にたたきつける人、びしょびしょになる人などが集まりこの日結成された。破壊的なパフォーマンスが続き、学生生活科に止められる。音を出すのこと、物を壊すこと、踊ること、それぞれをやめさせられていったが、私たちがその場で「立つ」というパフォーマンスはやめさせることはできなかった。
【版画専攻講評】 2014 武蔵野美術大学
武蔵野美術大学版画専攻の講評にて。
パフォーマンスとしてカップラーメンを食べた後、窓から部屋を飛び出る。一人外で踊ったり池で泳いだりする。ビショビショになって講評の部屋に戻り、パフォーマンスの終わりを告げる。
その後、コメントに困る教授たちの沈黙に比例するように強まるヒリヒリした緊張感こそ、尖っていた私が熱望していた空間なのである。
しんちゃん誕生会
杉英恵と共に友人のしんちゃんの誕生会の空間演出をした。
大量のトイレットペーパーを使用。
アジアパフォーマンスアート展2014
アジアパフォーマンスアート展(ニパフ)で行ったパフォーマンス。
このイベントには、「前に立つ人がなにをしていようがその様子を真剣にみる」という暗黙の了解のようなものがある。
ホワイトキューブの中で、皆の視線が私に集まる中、私は私をみる鑑賞者達をビデオカメラで撮る。
その様子を鑑賞者たちは真剣にみつめる。
数分後。
撮った映像をそのまま壁に投影。
鑑賞者は数分前の自分と強制的に向き合わされることになる。
みる側みられる側がいることによる空間の密度の変化に着目した作品。
多摩川狛江カップ
未知研究会のイカダ冒険部。
多摩川のイカダレースに出場。
櫓が建っているイカダを考案したが、すぐに転覆。
鶏をおいしく食べる会。
青梅の森の中でムサビの学生を対象にした鶏をおいしく食べる会を企画。
鶏調達係り、絞める係り、解体係、調理係、釣り係り、トイレ作り係り、記録係り、など係り分担と前準備を徹底的に行ったため40名近い参加者全員がほぼ手を余すことなく手際よく進み楽しい会になった。
【彫刻科の新入生を全員殺す】 2014 武蔵野美術大学
血尿になった人がそのエピソードを舞台で話す最中、女がピアノを弾きはじめる。石を並べる人が現れ、竹を持った人が血尿の人を蹴り飛ばし登場。新歓の空気は乱れに乱れだが誰一人言葉を発しない。ピアノだけが響く。
竹の人はその彫刻学科の新入生を含め会場内にいる全員を一人一人斬り殺していき、斬られた人は倒れ込む。ピアノの人も殺され、本当の静寂が訪れる。
竹の人も自害。生きている人はいなくなった。
【雨乞い】 2014 横浜バンカート
横浜トリエンナーレ。開発好明さんの100人先生での企画。
アーティスト田中義樹とともにつくった作品。
鳥居が描かれた大量の水風船を水の神様にぶつけた。
昔の雨乞いの形式に、神聖な池に死んだ牛を放り込むなど、神様を怒らせるタイプのものがあるということから着想し発表した。
【諏訪湖まで三輪車でいって飛び込む】諏訪湖
地球に存在していること
確かめようはいくらでもある
【渋谷スクランブル交差点でのチャンバラパフォーマンス】
信号が青になった瞬間、対角に構える白塗りの男女が中心に
むかって走る。真ん中で衝突。高速の殺陣を行う。
【蛍光テイスティー】
渋谷芸術祭での企画。リアカーを改造した派手な山車を小平市でつくり、それをメンバー6人で引っ張りながら渋谷芸術祭会場の竹下公園へ向かった。渋谷芸術祭のステージでパフォーマンス後、ハロウィンで盛り上がる渋谷の街に突撃。路上パフォーマンスで帰りのレンタカー代を稼ぎ台車を載せて小平に帰還する。
非日常の存在として、台車の装飾同様、メンバーの格好も派手な物にしたが、ハロウィンで浮かれている渋谷の人々からは歓迎ムードであった。
19歳の夏自転車旅行中に、初めて目の当たりにしたローカルなお祭りの熱量の衝撃。
あれから、旅をすることと地域社会について思い巡らすこととが表裏一体をなし、狂ったように活動を続けてきた。
地域アートという言葉が飛び交い、地方芸術祭の意義や問題点について頻りに語られるようになったこの年、私自身も5年の歳月を経て芸術家の旅人が地域社会に目を向けて活動する際の美しい心持ちについて自分なりの一つの答えを持つようになった。
キャンプの期間中、それらを民俗学の考え方などを参照しながら「よそもの」というキーワードを用い、プロシェクトとして多くの人が関われる形の企画に練り上げ、プレゼンを行った。
芸術公社のこの企画には、現代美術のみならず、民俗学の赤坂先生やストイックな民話採訪の小野和子さん、本人と地域社会との関係性自体を作品に取り入れる写真家の志賀理江子さんなど、多くのグレイトな偉人が講師となっていたため、広い視野で妥協なく考えることができてよかった。
しかのく荘100人パーティー!
鶴岡花と企画。実際は45人くらい来て大盛況だった。
いろいろ催しもの多数。
大好きな人等が大好きな小平に一挙に集結。
この日、私の青春は華々しく幕を下ろす。
●しかのく連峰配布
●無限のみ
●名倉うらない
●みずたばこ
●人間出汁
●ジェンダーバー
ミャンマーをママチャリで旅する
600キロくらい。
すてきな体験をたくさんした。
食中毒で倒れて終了
【福岡アンベラシュー】
福岡のチョベリグなスペース、アンベラシューで行ったパフォーマンス。
トイレットペーパー、花火、エロ本、紙飛行機、ハンガー、ドライヤー、テープなど
好きなものをふんだんに使い、よいパフォーマンスができた。天井が高くて気持ち良かった。
【天竜川くだり】
森の中から初めて天竜川をみたときにその美しさから、ここで船の旅をするという夢を持つ。
翌年、未知研究会のメンバーと決行。2000円のドンキホーテのゴムボートを使った。ぞくぞく感が堪らなくエキサイティングだった。
捕まえたテナガエビを素揚げしたりして楽しい思い出。
【国分寺駅】
西武国分寺駅ホームにある武蔵野美術大学の大きい宣伝ボードのオシャレ感が妙にいけ好かない。
本質に迫ろうと不特定多数の現役ムサビ生に街頭インタビュー。
自作した赤い雪だるまみたいな図形が摺られた紙に、大学のイメージをぶっちゃけ記入してもらう。
それらを持っていき、ぺたぺた貼付けて立ち去った。